国民皆歯科健診
みなさんこんにちは、福岡県飯塚市タカノ歯科医院 歯科衛生士の古澤です。
毎日暑い日が続きますが、熱中症対策はされていますか?
最近、患者様からよく聞かれるのが、「国民皆歯科健診」と言う言葉です。
政府は、全国民に毎年歯科健診を受けてもらう「国民皆歯科健診」の導入に向けて検討する方針をまとめました。
65歳以上の高齢者の方では、自身の歯を多く残す人ほど健康を維持できている。
逆に歯周病をそのままにして、歯周病が慢性化すると全身疾患に繋がるという研究結果がでています。
そのことから、歯の健康を維持して、他の病気を引き起こさないように国民の健康維持していく為に国が政策に乗り出したのです。
日本人の40歳以上の約80%が歯周病の症状を持っていると言われます。
歯周病菌の感染によって、口臭の原因、歯茎の腫れ、歯肉の痛みなどの症状が現れ、これを放置していると虫歯になってなくても
歯周病が進行して歯が抜け落ちることもあります。
この他にも、歯に関連が無いように思えますが、誤嚥性肺炎や動脈硬化、心臓病、脳卒中、糖尿病、早産、関節リウマチ、
アルツハイマー病、肥満などの病気と関係がある事が最近の研究で分かってきました。
日常の歯磨きが不十分だと、歯垢(プラーク)や歯石が歯と歯ぐきの境目に歯周病菌が繁殖します。
その後、歯ぐきが炎症を起こし腫れたり、出血しやすくなりこのまま放置していると、少しずつ歯と歯肉の間に、より深い隙間ができてしまいます
これを、歯周ポケットと言います。
プラーク中には、重量1㎎あたり1億個の細菌が含まれ、細菌が作り出す毒素によって、歯を支える歯槽骨を溶かし、
歯がグラグラしてきたり、歯肉が下がってきたりして歯が抜け落ちたりします。
そして、歯周病菌が、作り出す酵素や毒素、さらには歯周病組織で作られるサイトカイン(炎症を引き起こす物質)
などが血管を通して全身に運ばれて、全身の疾患に悪影響を及ぼしていると考えられています。
例えば、心臓の内膜に歯周病菌が付着すると心内膜炎を起こして、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めるとされます。
また、歯周病によって、プロスタグランジンと呼ばれる物質が体内で発生し、子宮を収縮させ、早産になる可能性も指摘されています。
糖尿病や関節リウマチは免疫機能の低下から歯周病になりやすいといわれ、歯周病がこれらの病気を悪化させることもわかってきました。
高齢者では、歯周病の罹患率が高く、口の中の細菌が肺に入り、炎症を起こすことで誤嚥性肺炎の発症につながります。
こういった病気を引き起こさない為に、定期健康診断を歯科にも義務付けるように法案の取り決めが進んでいます。
現在、歯科健診が義務づけられているのは、1歳半と3歳、小中高生の学校健診、
職業で塩酸などの化学物質を扱う人などに限られています。
厚生労働省は日本歯科医師会とともに、80歳で自らの歯を20本残す「8020運動」を進めてきましたが、
自治体で40〜70歳まで10年ごとに実施している歯周病検診の受診率は1割未満といわれています。
そこで、国はこれまで受診機会が少なかった人に働きかけていく方針を打ち出したのです。
具体的には、会社などの定期健康診断に歯科健診を取り入れたり唾液を採取する簡易キットを配布し、
歯周病検査をしたり、口腔がんの早期発見をするなどの案が出されているようです。
こうした口腔ケアを行うことで、歯の健康を維持して他の病気の誘発を抑え健康寿命を延ばす事で、
医療費の抑制を目指すというものです。
虫歯が痛むときだけ受診するのではなく、上記のように病気が重篤化しない為にも、歯科健診は大切なことです。
当医院では、患者様の健康を維持するためにも定期的なメンテナンス治療をおススメしています。